太陰暦と太陽暦、日本人の暮らしと二十四節気

暦の話➀

2023年4月5日(水曜日)

春分、秋分、夏至、冬至、立夏、立冬…暦(カレンダー)にしるしてあるこれらの言葉を「二十四節気」といいます。言葉どおり、他にも合わせて一年間で24個あります。なぜ?なんのために?こんな言葉があるのでしょう。太陰暦太陽暦、何が違うの?

暦の歴史

暦の歴史

「暦」は飛鳥時代に中国から日本へ伝わりました。百済から学者を招いて、日本で初めて暦が作られたのは推古12年(604)、今から約1420年前だそうです。

当時使われたのは、「太陰太陽暦」(「陰暦」「太陰暦」とも。)。それ以来長い間、「太陰太陽暦」は、暦法(計算の規則)を変えながらも、明治時代まで日本で使われてきました。

江戸時代に西洋の天文学も研究されるようになり、欧米で使われていた「太陽暦」に明治6年に改めることになりました。

太陽暦

地球が太陽の周りを一周する(地球の公転)のは約365.24日なので、365日を一年とします。端数があるので、4年に一度、ズレを調整するためにうるう月(一年366日)があります。

また、月が地球の周りを一周するのが約29.5日なので、ひと月の日数を30日か31日として一年を12ヵ月としています。これが現在世界中で使われている「太陽暦」です。

太陰太陽暦

一方、「太陰太陽暦」は月の満ち欠けから1か月を決めるものです。新月が満ちて満月になり、また欠けて次の新月になるまでをひと月とします。月が満ちる周期は29.5日なので、ひと月が29日(小の月)30日(大の月)を作りました。すると、1年(12ヵ月)は354日(29.5日×12ヵ月=354日)となります。現在の暦の一年365日と比べると11日間少ないです。三年経つと33日、約1ヶ月分ずれます。

この一ヶ月のずれを調整するために、太陰太陽暦では、数年に一度(19年に7回)、一年が13ヵ月の年(うるう年)を作りました。

太陽暦が使われていなかったのに、なぜわざわざ、このずれを調整する必要があったのでしょう。

4月に桜が咲き、8月の日射しは焼け付くよう・・・。私達が感じるこの「季節」は、太陽の働き(位置)によって変化します。言い換えれば、季節は太陽暦の一年12ヵ月に沿っています。それが一ヶ月もずれると、月と季節が合わなくなるからです。

暦と季節

太陽と暮らし

太陰暦ではうるう年を作っても、月と季節が最小でも約2週間ずれています。田畑の野焼きや種の蒔き時を考えたり、台風に備えたりするタイミングがずれてしまうと困ります。

そこで、「太陰太陽暦」を使いながらも季節を知る方法として、暦とともに中国から伝えられた「二十四節気」が使われました。

これは、太陽暦と同じく、太陽の動きを元にして決められたものです。(だからこそ、季節を知るための目安にできるのです。)

月と暮らし

一方、太陰暦では、月の満ち欠けが解ることで、海の大潮や干潮を知ることができます。これは海のそばで暮らす人々にはとても大切なことです。また、照明のなかった時代、月明りが得られる満月夜、漆黒の暗闇の夜を知ることは戦術や遠出にも影響したことでしょう。

余談ですが、月の美しさは多くの和歌に詠まれているのに、太陽の歌はあまりありません。月の暦を利用し、満ち欠けに想いを馳せる暮らしが、雅やかさやわびさびを大切にする日本人独特の感性を育んだのかもしれません。

二十四節気

二十四節気で季節を感じよう。日本の心を知ろう

二十四節気にはどんなものがあるのでしょうか。数字で表されるカレンダーよりも、奥深く、自然の営みを愛おしく感じられる素敵な日本語で表されてもいます。

「二十四節気」のお話を綴り、四季の移ろいと日本人の暮らしに目をとめていきたいと思います。

毎日忙しく、季節の変化に気付けずにいると知らず知らずのうちに心が殺伐としてきます。例え、オフィスビルが林立する都会で生活をしていても、数分だけ心の余裕をつくる時間を意識して四季に想いを馳せてみませんか?

すると、古来からの「日本の心」と通じ、穏やかで心豊かな暮らしに目を向けるきっかけになるかもしれません。

参考:

国立国会図書館web site https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter1/s1.html 

国立天文台web site https://www.nao.ac.jp/faq/a0305.html

井上象英著「365日暮らしのこよみ」学研プラス 

日本神社暦編纂會編「神社暦」

関連記事

おすすめキーワード